「上村(うえむら)さん」 そう。 わたし——上村みくるが、屋上で三澄くんにハンカチを貸してもらえちゃうところだったなんて。 絶対に……——。 「……ん?」 幻聴かな。 今、わたしのことを、誰か……。 気づけば、目の前のさやちんが、廊下のほうを見て固まっている。 不思議に思って、その視線を辿ると——。