「まあ、でも」
さやちんが、今度こそ唐揚げをひょいと口に入れて、
「三澄がうっかり誰かに喋っちゃったなんてことがあれば、瞬く間に、女子の間で話題になっちゃうだろうね」
「……」
「三澄くんに優しく慰められた、贅沢な女はいったい誰よ! ……なんてね」
だいぶ尾ひれのついたさやちんの芝居じみたセリフに、わたしの口から、ひえ、とか細い声がもれた。
……知られたくない。
失恋して、ひとりで泣いていた恥ずかしい事実も。
三澄くんに心配されてしまったことも……。
校内の全女の子からの反感を買ってしまうかもしれない。


