こころが揺れるの、とめられない



……美術室前の壁。

生徒の作品がいくつか展示されているそこに、少し前に、……三澄くんが描いてくれた、わたしの絵が加わった。


わたしと三澄くんが付き合うことになってすぐ、それを知った春野先生がうきうきとした調子で、飾ろうと言い出したんだ。

仕舞っておくのはもったいないから、って。
せっかくだから、って。


でも……。
三澄くんは、もともと誰にも見せるつもりはなかったようだし。

わたしだって、なんだか落ち着かないから、やだって言ったのに……。


春野先生にうまいこと丸めこまれて、結局飾ることになってしまった。

そして、その絵の存在があったからかどうかはわからないけれど、——1週間も経たない内に、わたしと三澄くんが付き合いだしたことが、学校中に知れ渡っていた。

そして、その絵の存在があったからかどうかはわからないけれど、女の子たちからの妬みでわたしがなにかをされるということも、今のところは、一切なかった。



「今や先生たちにまで公認のふたり、って感じだもんね」


祐希ちゃんの言葉に、わたしは眉を下げる。


「……喜んでいいのかよくわかんないよ、それ」


美術室の前を通ることがある度にからかってくるさやちんや、会う度に惚気を聞かせてってねだってくる可奈ちゃんに加えて。

……たまに向井先生にまで、三澄くんのことを聞かれるのだから、勘弁してほしい。

……あの拭えない親戚のおじさん感は、いったいなんなんだろう。