「……見てるよ、ちゃんと……」
上村さんの震える声が、俺の鼓膜をくすぐった。
「三澄くんのことが、わたしも——」
——すき。
耳に届いたその言葉に、胸がいっぱいになる。
満たされるような心地に、意識を委ねて。
俺は上村さんの髪に指を通して、……目の前の紅い唇に、自分の唇をそっと重ねた。
昨日、強引に触れてしまった感触を上書きするように。
上村さんの唇を湿らせている涙のしょっぱさを感じながら。
……ゆったりと、落としたキスを深くしていった。
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