「だから、わたしのことは気にしないで、きっぱりフってもらって——、っ」
俺は衝動的に手を伸ばした。
目の前の小さな体を、ぎゅっと抱きしめる。
「やっぱり。……全然わかってない」
「え、あの、み、三澄くん?」
どうしてわからないんだろうな。
これまでも何度か、自分のできる精一杯で、気持ちを伝えてきたつもりだったんだけど。
ちっとも伝わっていないみたいだ。
でも……。
戸惑うように声を上げる鈍感なところさえも愛おしく感じて、胸元が突き上げられる。
その苦しさを紛らわすように抱きしめる力を強めて、俺は上村さんとの間の距離を、さらに埋めた。


