こころが揺れるの、とめられない




***


いつの間にか、西日の光は弱まり、雲は大きな影となって空を覆っていて。

屋上で眠っていた俺は、ゆっくりと身を起こした。

楽器の音もすっかり聞こえなくなっているし、部活動に励む生徒たちの声も心なしか少なくなっている。


……そろそろ下校時刻か。


荷物をとりに、美術室に戻ろうと立ち上がったところで、——いきなり、バンッ、と音を立てて扉が開かれた。


いつかを思い出させるかのように。

飛び出すように現れたのは、


「みすみ、くん……っ」


息を切らした上村さんだった。

風になびく髪の間から、俺を見つけて、安心したように頬を緩める。


「……っ、ごめんね」


……太陽はすっかり校舎の向こうに隠れてしまったはずなのに。

涙ぐむ上村さんの目は、今日もきらきらしていた。