こころが揺れるの、とめられない



——よく通る声だな。


そう思って、心の中で、思わず笑ってしまった。


……サッカー部はいいよな。

あんな風に近くで応援されたら、……そりゃ、がんばれるだろ。


そのまま、俺はしばらくサッカー部の練習を見守って。

時折、先ほどのマネージャーを目で追って。

選手のプレーひとつひとつにコロコロ変わる表情を見て。


——うらやましい、と思ってしまった。


自分の頑張ってるものに、あそこまで喜んだり悔しがったりしてもらえたら、……俺だって……。


そんな思考に陥ったところで、自分で驚いた。


ああ……なんだ。

俺は、……自分で思っていたよりも、絵を描くことが好きなのかもしれない。


不意にそう実感した。


きっと俺は、——悔しいんだ。

優秀賞止まりで、大賞を逃したことを、きちんと悔しく感じている。

そして、ひょっとしたら、それを誰とも共有できずにひとりで抱えている今の状況が、もどかしいのかもしれない。


『こっちもがんばろって思っちゃったり、するよね』


グラウンドに飛び交う掛け声。

自分に向けられたわけではないその言葉たちを、俺はしっかりと耳で受け止めながら、……妙にスッキリとした気持ちで、筆を握り直した。