こころが揺れるの、とめられない




***


「今日も賑やかだね、サッカー部。こんなに寒いのに、すごい」


あれは確か、1年の終わりに差しかかった冬のことだ。


入部したての頃には数名いたはずの他の美術部員たちが、徐々に姿を見せなくなっていた中。

静かな美術室で、俺と同じように毎週作業に取り組んでいるひとりの女子部員が、ぼんやりと言った。


今まで特に気に留めていなかったグラウンドの様子へと、なに気なく視線を移す。


「ん、そーだね」

「こっちが静かだから、余計に元気に見えちゃうのかな。仲良いし、楽しそう」

「窓閉めてても、声、結構聞こえるしね」

「そうそう。マネージャーさんの掛け声聞きながら、練習試合とか見てると、たまに一緒になって、がんばれ、って思っちゃったり。あと、こっちまでがんばろって思っちゃったり、するよね」

「……」

「あれ、……しない?」

「……する、かも?」

「……、わたしだけだったんだね……」


恥ずかしー、と呟く声が聞こえて、俺はくす、と笑った。