恋愛のことは、よくわからない。

けど、自分は人を観察することには長けていると思うから。

なんとなく、感じ取れた。

そのことに上村さんも気づけば、……きっと。

『好きだった人』は、『好きな人』に、いとも簡単に戻れてしまうのだろう。



心が落ち着かない要因であるその光景を追いやるように、瞼を開ける。

俺はもう一度深く息を吐くと、歩を進め、ゆっくりと階段を上っていった。