描きたい、って言ってもらえて、嬉しかったの。
「――上村さんのこと、もう描けない」
ガツン、と。
石で頭を殴られたような衝撃に、よろけたわたしの背中が、扉にぶつかった。
「……や、……」
頭で考えるより先に、口をついて出ていた。
わたしの声に、頑なにそらされていた三澄くんの目が、ゆっくりとこちらを向く。
「……やだ……」
わたしの口からこぼれたのは、そんな、駄々をこねる子どもみたいな返事だった。
「……ごめん」
三澄くんの顔が、一瞬だけ悲しげに歪んだように見えたけれど、……わたしの視界がぼやけて、すぐに見えなくなる。