なんだろう。
息が、うまく吸えない。
「今まで時間とらせて、ごめん」
耳に届いた言葉の意味を理解するのに、時間がかかっている。
脳が、理解することを拒んでいる。
「……どして、そんなこと言うの」
絞り出したわたしの声は、今にも泣き出してしまいそうな、弱々しいものだった。
「途中で、こんな……。三澄くんらしくないよ」
だって、三澄くんは……。
涼しげな表情とは反対に、その心の内側には、熱い気持ちを秘めていて。
見かけによらず、負けず嫌いで。
コンクールの結果を、悔しいと思うくらいに、絵に対して真剣に向き合ってて……。
「わたしのことなら、気にしないで。大丈夫だよ」
その気持ちを、素敵だなって、思ったの。
応援したいって、思ったの。
おかしな出会いだったけど、……三澄くんの力になれることを、誇らしく思えたの。
「……俺が、無理かな」


