「……やっぱさ。お前によそよそしい態度とられて、……男女の友情って、上手く成り立たせるのは難しいんだな、って、思い知ったわ」
「そんなこと……」
ないよ。とまでは、続けられなかった。
わたしこそ、ついこの前まで、……綾人のことを友達だなんて、思ってなかったんだから。
好きだからそばに居られるように、友達を装ってた。
そんな不純な気持ちを抱いていたことをなんだか申し訳なくなって、わたしは唇を結んだ。
綾人は小さく息を吸い込むと、こめかみあたりの髪をガシガシと乱した。
「まーいいわ。……お前の気持ち聞いたら、……色々、吹っ切れる気がする」
「……ほんとに、ごめんね。黙って覗き見したことも……」
「もういいよ。謝って欲しいわけじゃねーの、俺は」
伏せられた視線が、少し間を置いてから、ふとわたしの目に移る。
「……ただ、みくるのことを――」
なにかを言いかけて開いた綾人の唇。
それは迷う素ぶりを見せて、……諦めたように、閉じられた。
わたしたちは、そのまま黙ったまま見つめ合い、
「……あのさ」
やがて改めて、綾人が口を開いた。


