「俺、結構傷ついてたんだけど」
「……」
「……可奈の気持ちを知ったとき、……まず一番に、こうやってお前に気を使われたら嫌だなって思ったくらいだったし」
「最低だろ」なんて、自嘲気味に付け足して。
綾人はおもむろにこちらを振り向いた。
少しだけ明るく染められた髪が、西日によって、金色に縁取られている。
「俺……お前らと三人でいるの、結構好きでさ。彼女と別れた原因も、それ」
「……そうだったの?」
「そー。あっちからしたら、気にくわないのは当たり前かもしれねぇけど。離れろって言われて、……それは無理だなって、思った」
……知らなかった。
なんとなく嬉しくなって、つい口元が緩む。
「三人でいる時間が壊れるかも、って考えたから、可奈とも付き合えないと思ったし、今まで通りでいたいって断った。……なのに、勘違いしたお前が勝手に離れてくとか、元も子もねーじゃん」
「……それは、ほんとに、ごめん……」
しょんぼりとすると、綾人の瞳に、見守るような穏やかな色が浮かんだ。


