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大通りから外れた、住宅街の中を進む。

少し時間はかかるけど、電車は使わずに、歩いて帰ることにした。


まぶたが重たい。

ゆっくりと歩きながら、綾人に引かれる自分の手を、わたしはぼんやりと見つめた。


……以前だったら。

きっとものすごく舞い上がって、ドキドキして、平常心ではいられなかったはずだ。


だけど……。

自分の手を包む、人の体温に。
……保健室で三澄くんに手を握られたときのことを思い出してしまうわたしのこころは、随分と薄情なのかもしれない。


「落ち着いたかよ」

「うん……。驚かせちゃって、ごめんね」

「ほんとにな」


言葉は素っ気ないけれど、わたしを気遣ってくれているのだとわかる、綾人の声。