美術室前。

貼り出されたポスターをぼうっと眺めている、すらりとした長身。
ここからでもわかる、小さくてきれいな横顔。


思わず立ち止まったわたしに、さやちんが首を傾げるのが、視界の端に映った。

けれどもわたしは、彼から目が離せなかった。


今の時間、人通りの少ない北側の廊下にぽつんと立ち尽くすその姿は、……なにかの映画のワンシーンみたい。
それくらい、絵になっている。


「……三澄?」


彼の名前を呟いたのは、わたしじゃなくて、さやちんだった。