「もう、終わるよ」
わたしより先に返事をしたのは、三澄くんだった。
開こうとした口を、わたしは思わずつぐんだ。
綾人はわたしの背後に視線を送り、ホッと笑顔を浮かべる。
「そーなんだ。じゃ、昇降口で待ってるわ」
「……わかった。後でね」
わたしは、そう返事をするしかなかった。
……いったい、なにを話されるんだろう。
正直、複雑な気分だ。
可奈ちゃんと綾人のことを勝手に勘違いしていたことを、聞いたのだと思うけど。
詳しく問い詰められでもしたら……、綾人のことを好きだったわたしの気持ち、明かさずにはいられないかもしれない。
できれば、このままなにも知らないでいてほしい。
気まずくなりたくない……。
綾人が離れていくのを眺めながら、ぼんやりと考えていると。


