「頑張って学校これて、えらい、えらい」 「……だって、授業で置いてかれたら困っちゃうし……」 数学とか、すぐにわかんなくなっちゃう自信しかないや。 ——それに……。 「……なにも考えずに泣いてる場合じゃないというか、……ちょっと、気がかりなこともあって……」 「気がかりなこと?」 ロッカーの扉を、パタンと閉めて。 歩き出したわたしは、——渡り廊下を挟んだその先へ、自然と視線が吸い寄せられた。