「……でさ、本当のところは、どうなの?」 「へ?」 「三澄くんと」 わたしたちの他には誰もいないのに、可奈ちゃんは、まるで内緒話をするように声を潜めた。 「付き合ってるの?」 「……ううん。誤解なの」 「あれ……そうなんだ」 ジャージのファスナーを、首元まで上げて。 緩く巻かれたアッシュブラウンの髪をひとつにまとめながら、 「体育館でのみくるたちを見たときは、てっきりそうだと思ったのにな……」 可奈ちゃんは、思い出すようにそう言った。