「あれ、投げたのうちのクラスの女子だから」
「あ、そうだったんだ……」
女の子にしては、ずいぶんと立派な投球だ。
思わず感心すると、
「詰め寄っても、本人たちはわざとじゃないって言い張ってたけど。俺には、お前を狙ってたように見えた」
「……へ?」
「……この、鈍感。アホ。ボケボケ」
突然の悪口のオンパレードに、ポカンとしてしまう。
ぺち、とおでこを叩かれて、わたしは情けない声を上げた。
「なんでえ……突然ひどい……」
おでこをさすりながら困惑したように綾人を見上げれば、
「お前が、三澄と最近仲がいいから、妬んでんだろ。気づけよ」
「え……」
「みくると三澄が付き合ってんじゃないか、って思ってるやつ、結構いるぞ」
「そ、そうなの?」
「……違うのかよ」
「ちがうっ」
疑いの眼差しがわたしに突き刺さり、力強く首を振る。


