……こっちの、手……。
筆を持つ方の、手だ。
さあっと血の気が引いて、わたしは三澄くんをまっすぐに見た。
「保健室、行こう」
「え」
「さやちん。先に教室、戻ってて。わたしは保健室に寄ってから戻るから」
戸惑い気味に頷いたさやちんを横目に、わたしは三澄くんの右手の方を掴み直して、ぐいぐいと引っ張る。
わたしの焦りっぷりに圧倒されたのか、三澄くんは抵抗することなく、大人しく後をついてきてくれた。
繋がったわたしたちの手に、ずっと後ろのほうから、ヒュー、という誰かの冷やかしの声が、追いかけてきた。
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