2クラス合同で行う体育の授業は、男女別だけれど。
今の時期は男子も体育館を使用するらしく、ステージ側と入り口側で、半分こにしている。

男の子たちが、真ん中にある仕切りのネットをくぐっていくのが、可奈ちゃん越しに見えた。


「ていうか、みくるもさやちんも、早く着替えないとやばいんじゃない?」

「……うわっ。ほんとだ、時間やば」

「やばいやばい。急ご、さやちん」


慌てて倉庫から出て、体育館シューズを足から引っこ抜く。

腕に抱えて、靴下でペタペタと走っていると、途中でうっかり、ツルッと足を滑らせてしまった。


ひえええ。

危な……っ!


尻もちをつかないようなんとか堪えると、……ちょうど、向かいから歩いてきていた綾人と目が合った。


「は、どんくせー」


見て見ぬ振りなんてしてくれず。
わざわざ友達ふたりとの会話を止めて、視線だけをこちらに寄越して。

くはっと笑われる。


「……ほっといてよぉ」


わたしは綾人に向かって、手で払う仕草をした。

綾人の友達にまで見られてしまって、思いっきり恥ずかしい。