水曜日の2時限目、体育。
朝から体を動かすこのひとコマは、わたしにとっては憂鬱なもの。
最悪なことに少しだけ長引いたこの時間を、なんとか乗り越えて、使っていたバレーボールを体育館倉庫のカゴに投げ入れる。
さっさと倉庫を後にしていくみんなに、わたしも続こうとしたところで、
「そういえば、みくるは聞いた? 新しい三澄の噂」
唐突に、小声のさやちんが、わたしのジャージをちょん、と引っ張った。
「……噂?」
なんのことだろう。
新しい、ってことは……。
また、女の子たちが盛り上がるようななにかが、起きたのかな。
のんびり考えてみるけれど、特に思い当たる節はない。
わたしは、どちらかというと学校内のニュースには疎い方で。
だいたいいつも、こうしてさやちんから教えてもらう形が多い。
これでも三澄くんとは週2のペースで話しているというのに。
なにも思いつかないなんて、なんだか情けないや。