「俺は、後悔するって言ったろ?」

「私はしないって言いました。」

「したんだよ。後悔。ハヅキが居なくなったのは俺のせい。罰が当たったんだ。俺にとって一番大事なのは、守らなきゃいけないのはハヅキだったのに。」

「じゃあなんで今、キスしたんですか。」

「もうお前に関わらないようにしようって思った。個人的には近付かないって。そうしなきゃもっと戻れなくなるって思ったから。お前の目を見てると変になる。それが怖かった。これで最後だ。もうこれ以上…。」

「ズルイです。だって後悔してるクセになんで今キスしたんですか!これで最後なんて、そんな手切れ金みたいなこと…。期待させたクセに自分だけ納得して逃げるなんて許せないよ!」

「分かってる。俺は最低だ。お前は何も悪くない。でもこれで終わりにしよう。俺はハヅキを心から愛してる。天秤にかけたらどうしても…、ごめん。お前じゃないんだ。」

「そんなこと…。分かってますよ。先生の宝物が何かなんて知ってる。だから私…。」

「だから?」

「なんでもないです。先生、失くし物、見つかるといいですね。早く見つけてあげてくださいね。」

私は机に戻って鞄を取って、教室を出ました。
先生にさよならは言いませんでした。

これで終わらせる気なんて無かったから。
先生を私の物にする。
その決意は変わりません。

どんなに拒絶されても。
恨まれても。

だって先生だって私をどうにかしようとしてたじゃないですか?
それは先生の口からはっきり聞けたし。

それなら私達は正しい形に戻らなきゃ。
先生の宝物は、私が持っています。

全部思い通りにいく。
最後にはちゃんと私も先生も、ハヅキくんも幸せになれるんです。