先生、私がヤリました。

六時をちょっと過ぎたくらいだったと思います。

教室のドアの開く音がして、先生が入ってきました。

「先生。」

「…あぁ、まだ残ってたのか。」

「はい。」

「誰か待ってんのか?」

「はい。先生を。」

「俺…?」

先生と二人だけで言葉を交わすのは久しぶりでした。
それこそキスをした日以来だったと思います。

先生が私だけを見て、私にだけ言葉を投げている。
頭や指の先、爪先がチリチリと疼く感じがしました。

絶頂感に似てる感じですかね?
脳内も思考も細胞も心臓も全部満たされていく感じです。

「何で俺を?」

眉間に皺を寄せた顔。
私に対する嫌悪感でしょうか?
もしかしたら「恐怖」だったのかも。

私のこと、ストーカーだって思ってたのかもしれませんね。
手を出してきたのは先生のクセに。

いいんです。
嫌悪でも何でも。

見て。
もっと。もっと、もっと、もっともっともっともっともっと!!!


私だけを見て。
私以外の人間なんて認識すらして欲しくない。

全員居なくなっちゃえばいいのに。

二人きりになって改めて、先生を取り巻く環境が邪魔だなぁって思いました。
全部捨ててくれるなら、私もそうするのに。

全部先生の言う通りにする。
して欲しいこと、したいこと全部。

一体私の何が足りなかったんでしょうか?
世界で一番、ううん。
世界で唯一、先生を愛し抜けるのは私だけなのに。