「ふーん。青春だな。」

「そうですね。」

「その後は?」

「はい。それから、ジュースを買いに行こうってことになって小学校を出ました。その途中で補導されたんです。警察の人に、名前と学校、保護者の連絡先を聞かれました。」

「…お前は?」

「先生の連絡先を教えました。」

先生は浅くて長い息を吐きました。
ちょっと俯き加減で頭を掻きながら。
困ってるんだろうなって思いました。

「ごめんなさい。」

「いや、いいよ。でも何で祖父母の連絡先を言わなかった?」

「何となく…。だって私の一番近くに居る大人は先生だから。」

「保護者じゃないだろ、俺は。」

「でもおばあちゃん達は普段の私を知らないから!」

「そうだな…そう…、しょうがない、か…。」

しょうがない。
先生が許した理由が「しょうがない」って、それでも良かった。
許されないよりずっとマシです。

先生のところにはやっぱり連絡は来てなくて、きっと来ないだろうって先生も言ってました。

学校に連絡が行ってたらすぐに担任に連絡が来るはずだから、それも無いって。

先生が私を真っ直ぐに見つめて、言いました。

「子どもであることを自覚しろよ。」って。