先生は私の隣に座りながら「それで?」って言いました。

「はい?」

「それで、何で補導されたんだよ。」

先生の口調は怒ってる感じでは無かったです。
世間話をするみたいな、普段と変わらない口調でした。

Bと一緒にAの家でお泊まり会をしたこと。

夜の八時くらいにAが花火をしたいって言い出して、Aの親は止めたけど、Aと幼馴染のCも呼ぶことになって、CはAの両親に信頼されているからそれならって許可されたこと。

Cを呼んだらDも来て、公園に行くつもりがCの提案で小学校に忍び込んだこと。

「結局花火は出来なくて…、Aが火を持ってくることを忘れたんです。」

「花火をする為に集まったのに、火を忘れたのか。」

「はい。」

小学校に忍び込んだくだりらへんから先生は険しい表情をしていました。
でも火を忘れた話で少しだけ笑ってくれました。

「じゃあ花火は結局無駄になったんだな。」

「いえ。花火は、無駄にならなかったんです。」

「なんで?」

そうなんです。花火を持ってきたこと自体は、無駄にはなってなかったんです。

あなたも気になりますか?
夏まで待ってたらシケちゃってもうダメになっちゃいそうじゃないですか。

なのに、私達は花火のパックの中から線香花火を取り出して、それぞれ一本ずつ、選んで持ち帰りました。

夏休みになったらまた集まろうって約束をして。
その日の最後にみんなで火をつけようって約束をしました。

なんかドラマみたいだねってみんな嬉しそうでした。