先生、私がヤリました。

「なんか飲むか?」

先生はポケットをゴソゴソしながら訊いてくれました。
チャリン、って音がしてました。

「ううん。大丈夫です。…先生?」

「ん?」

「私と二人で居るところ見られたらマズくないですか?」

「いや?たまたま会って、生徒指導することになっただけだ。やましいことなんて無いだろ。」

「そうですね。」

胸の奥がちゃぷんってしました。
泣きたいのともちょっと違う。
よく分かんないけど、むしゃくしゃしました。

たまたま会ったのが私じゃなくても、先生は同じようにしたんでしょうか。
例えばBとか。

同じ状況の生徒なら、分け隔てなく、そうしたんでしょうか。

え?それだったら救われたかって?
先生が「私だから」じゃなくて、誰にでもそうだったら諦めてたか?
未来は変わってたか?

分かりません。
それでもきっと…、絶対好きだったと思うから。

先生になんて思われても、怖がられても気持ち悪がられても、それでやめることが出来ていたなら、私の恋だって、先生じゃなくても良かったってことです。

誰でも良かったわけじゃない。
私は先生が好きでした。

先生だけが。