先生、私がヤリました。

あんまり詰め寄るもんだから、先生の番号を教えちゃいました。

実際、それくらいしか私にはもう切り札が無かったから。

祖父母の連絡先は絶対に言いたくなかった。
面倒ごとは嫌だったんです。
私も、きっと祖父母も。

警察の人は「後日、連絡するから。」と言って、ようやく解放してくれました。

自転車に乗って走り去っていく背中を見ながら、私達の間には気まずい空気が流れてました。

泣き出しそうなBの背中を、私はさすっていました。
自分の指先がちょっと震えてることに気付いてしまって情けなかったです。

私って本当は、小心者なのかもしれません。

Cが「大丈夫だよ。」って言って、Dも頷いてました。
多分、連絡なんて来ないって。

警察はこんなことよりもっと大きい事件があって、わざわざ電話して回るほど暇じゃない。
俺達を脅す為に言っただけだって。

「警察」と「脅す」っていうアンマッチなワードに私はおかしくなってましたけど、さすがに笑える空気じゃないってことくらいは分かりました。

仮に本当に「脅し」だったとしても、私達はイケナイことをしたんだって、みんなが思ってました。
大人に叱られれば子どもなんてそんなもんです。
それも警察に。
怖いに決まってるじゃないですか。