先生、私がヤリました。

またみんなで校門の鉄扉を乗り越えて、学校から出ました。

Cは汚れた手を洗いに行ったはずなのに、多分また汚れてしまったと思います。
そのことにDもツッコみながら笑ってました。

さっきキスしたことなんて嘘みたいに、私もDも「普通」でした。

ジュースを買いに自販機まで歩いてる時でした。
何メートルか先から、チカチカ光る明かりが見えました。

街灯よりもずっと下。
私達の目線よりも少しだけ下の方です。
明かりは二つあって、私達が歩くスピードよりも早く、近付いてきました。

二つの明かりが自転車のライトと懐中電灯、それを灯す人の正体が分かった時、私達は全員、ピタッと魔法をかけられたみたいに動けなくなっていました。

ああいう時って条件反射で走って逃げ出すのかなって思ってたんですけど、やっぱり私達って子どもですよね。
どうしよう、ヤバイとかそういう感情が一瞬でいっぱいになってどうしたらいいか分かんなくなるんです。

あ、笑いました?
しかも嫌なタイプの笑い方。
そんなことで私がうろたえると思わなかったですか?

分かってますよ。自分がもっと酷いことをしたってことくらい。
その時はまだ、子どもだったんです。
周りと同じ、普通の。