先生、私がヤリました。

その日から、個人的に連絡をするようになりました。

みんなの前とは違って、家庭のことも詳細に教えてくれました。

去年、ようやく家を建てたこと。
同年齢の中では早く夢が叶ったほうだけど、これからローン地獄だとか、
奥さんはのんびりしてるほうだから、ハヅキくんのお風呂はほとんど先生が担当していて、
夕飯の片付けを手伝うこともあるとか。

話を聞いていると、先生は家事や育児にかなり協力的だったと思います。
家もハヅキくんも二人の物だし、どちらか片方だけが頑張るなんておかしいから当然なんですけど、それでも仕事から帰ってからのことだから、偉いなぁなんて思いましたね。

「子どものお世話ばっかりしてるんだね。家でも外でも。」

そう言った私に、先生は「そうだな。」って返事をしました。

それはそうなんですけど、私はやっぱり先生の中では子どもなんだなって事実がすごく嫌でした。

私だって先生との子どもを産めるし、制服さえ着てなければもしかしたらそれなりにイケるかもしれないのに。

家からは何が見えるんだとか、ハヅキくんのお気に入りの遊びとかオモチャ、奥さんは芸能人だったら誰に似ていて、ハヅキくんのお昼寝の時間、何時くらいになったら公園に行く。
色んなことを先生は教えてくれました。

全部記憶して、先生が教えてくれた時間に、先生が教えてくれた目印や特徴を頼りに、休日になるとパトロールに出るようになりました。

最初は休日だけだったんですけど、さっきも言ったじゃないですか。
時々ふっと、何もかもが嫌になるんだって。

そういう時は学校を休んでパトロールに出ました。
体調不良ですって先生にメッセージを送ると、最初は「一人で大丈夫か?」とか心配してくれてたのに、回数が増えると「単位。」って言われるようになりました。

単位なんてどうでも良かった。
私はいずれ、先生を手に入れる。
そうなったら私が学生であることに意味なんてありません。
先生の為に生きていくだけですし、私が先生の物である以外の肩書きなんて何も要らなかった。