普通に授業を受けて、休み時間には友達とお喋りして。

ご飯を一緒に食べたり、移動教室も友達と一緒だったし、放課後に遊びに行くことだってありました。

ただ、時々またふっと虚無感に襲われて、無気力になるんです。
だから一学期の間も何度か学校を休みました。

でも学校が嫌いなわけじゃありません。
むしろ好きでしたね。
先生に会えるから。

先生と正当に会う為には登校するしかないじゃないですか？
学校でしか会えないのはすごく寂しかったです。

入学式の日から、先生の薬指に指輪があることには気付いてました。
子どものこととか、奥さんどんな人？とか冷やかされてる先生を見るのは辛かったです。

高校の同級生だって言ってました。
奥さんは大学には進学しないで、高卒で就職したそうです。
二十二歳になるちょっと前に奥さんの妊娠が分かって、先生もまだ大学生だったから、双方の親にひどく叱られたそうですよ。

でも先生も奥さんも元々結婚は決めていたし、本気だからって何度も親を説得して、結婚することが出来たそうです。

照れながらも奥さんやハヅキくんの話をしてくれる先生はとても幸せそうで、そんな表情にさせる奥さんが羨ましかった。

まだ入学から一ヶ月も経つかどうかって時から、私は毎日先生のことを考えるようになっていました。