「あの中に?」

「うん。おやつもジュースもオモチャも絵本も全部貸してあげる。でもテレビはつけちゃダメだし、声も出しちゃダメ。出来るかな?」

そう言って、私はクローゼットから衣装ケースを持ち出しました。
引き出しにはパンパンにオモチャが詰まっています。

ハヅキくんのおうちの前で見かける時に遊んでいる物、ネットやテレビの情報、先生から聞き出したハヅキくんのお気に入り、買って買ってってねだられている物。
探しては買い漁って、衣装ケースの中を満たしていきました。

「うわぁ!」

今までに無いくらい、ハヅキくんは興奮して声を上げました。

「しぃー。」

静かにってポーズをして、ハヅキくんの頬に触れました。

「今の声もダメだよ。お姉ちゃんとの約束、ちゃんと守れる?このオモチャはぜーんぶハヅキくんの物だから好きにしていいんだよ。約束さえ守ってくれたら。」

「出来る!」

ハヅキくんは声をひそめて、コソコソ話をするみたいに言いました。

「いい子。」

そう言って頭を撫でてあげると、気持ちよさそうに目を細めました。