その日、どうやってマンションまで帰ったか、よく憶えていません。

一人で帰りました。
先生には送ってもらってません。

頭の中がペン先で書き殴ったみたいにぐちゃぐちゃの線がいっぱいになって、すれ違う人達の声も違う次元に居るみたいに遠くて、幽霊になったみたいにふわふわしました。

私の好きはもう要らない。

先生の声には確かに、なんの感情も含まれていませんでした。

愛なんて尚更、憎しみすら無い。
先生の中に、私はもう居ない。

頭の中で、心の中でも何度も何度も先生の言葉を確かめました。

聞き間違いじゃないだろうか?
もしかしたら私が意味を受け取り間違ってるのかも。

先生だって今は大変な時なんだから。
そりゃそうだよね。今はそれどころじゃ…。

何度も何度も確かめてみましたけど、それが間違いじゃないこと、言葉以上の意味なんて無いことは分かってました。

誰よりも特別になりたかったのに、
何で誰よりも、どうでもいい存在になっちゃったんだろう。