「ねぇ、君、一人?」

最初はそう声を掛けました。
幼児…、ハヅキくんは不思議そうに私を見上げていました。

ハヅキくんが手に持っていた黄色いボールをハッキリと憶えています。
柔らかそうな、ポンポンって地面を軽く跳ねそうなボール。

小さなハヅキくんの手には大きすぎる気がしました。

「おねーちゃん、だぁれ?」

そう訊かれてもしばらく黙っていました。
そしたらね、ハヅキくんが「一緒に遊ぶ?」って、ボールを差し出してきたんです。

子供って邪気が無くて、
本当に怖いですよね。

もう少し憎たらしい子なら、
心置きなく酷いことが出来たのに。