先生、私がヤリました。

リズちゃんは黙って私を見てました。

ゆっくりと脱がせたリズちゃんの背中には消えかけの黄色くなった痣がいくつかありました。

青っぽいのとか紫のは無かったのでどれが一番新しい痣かは分かりませんでした。

私はそっと、リズちゃんを抱き締めました。
小さい肩。細い腕。
短すぎる髪の毛。

「お姉ちゃん?」

耳のすぐ傍でリズちゃんの声が聞こえました。

「大丈夫よ。」

「だいじょうぶ?」

「大丈夫。お姉ちゃんが守ってあげるから。いい子にしてればずっと。だからお姉ちゃんとの約束守ってね。」

「うん…。」

「いい子にしてればずっと。」

「うん。」

洗脳なんて簡単です。
リズちゃんは弱い。そして脆い。

痣が完全に消えてしまえば、リズちゃんはきっとお母さんとの繋がりも失くしてしまうでしょうね。

悲しいけど。
その痣はお母さんがリズちゃんを見てた証拠だから。

悲しいけど。

キッチンタイマーはいつの間にか止まってました。
数字の表示すら消えてました。

電池切れ。
アレがボタン電池だったか乾電池だったか分かんなくて、交換が面倒だなって考えてました。