条件反射ですかね。
そんなことしても意味無いのに、私は息をひそめてインターホンの液晶モニターに近付きました。
左隣の部屋の、四十代くらいの女性が立ってました。
確かご夫婦で入居されてる方だったと思います。
手に何かのビニール袋を下げてました。
「はい…。」
液晶モニターの「通話」ボタンを押しながら返事をしました。
モニター越しにちょっと画素が荒くなったお隣さんが揺れました。
「こんにちは。隣の者です。先日旅行に行ってきたの。良かったらコレ。」
お隣さんは腕に下げていた袋を顔の高さに持ち上げて、こちらに見せるようにしました。
旅行?お土産?
そんな物を貰うほどの交流なんて無かったのに。
なんでいきなり…って思いました。
通話ボタンから指を外して、隣の「終了」ボタンを押しました。
液晶モニターの中のお隣さんは一瞬で消えました。
そのまま玄関に行って、ドアを開けました。
ニコニコと愛想のいい笑顔を浮かべたお隣さんが「どうも。」って言いました。
「こんにちは。」
「この前ね、旅行に行ってきたの。九州。いい所だったわよ。これ、良かったらどうぞ。」
「えーっと…、そんなにお話したことも無かったですけど…。いいんですか?」
「知り合いにお土産選んでる時にね、ふと思い出したのよ。そういえばお隣の女子高生。一人暮らしじゃ無かったかしらって。高校生なのに一人暮らしだなんて…。大変でしょう?偉いわぁ…。ご飯はしっかり食べないと!体に気をつけるのよ。」
急に親戚の人みたいに私を心配して。
変な人。
それに私は偉くて一人暮らしをしてるわけじゃない。
そうしなきゃいけなかっただけだ。
そんなことしても意味無いのに、私は息をひそめてインターホンの液晶モニターに近付きました。
左隣の部屋の、四十代くらいの女性が立ってました。
確かご夫婦で入居されてる方だったと思います。
手に何かのビニール袋を下げてました。
「はい…。」
液晶モニターの「通話」ボタンを押しながら返事をしました。
モニター越しにちょっと画素が荒くなったお隣さんが揺れました。
「こんにちは。隣の者です。先日旅行に行ってきたの。良かったらコレ。」
お隣さんは腕に下げていた袋を顔の高さに持ち上げて、こちらに見せるようにしました。
旅行?お土産?
そんな物を貰うほどの交流なんて無かったのに。
なんでいきなり…って思いました。
通話ボタンから指を外して、隣の「終了」ボタンを押しました。
液晶モニターの中のお隣さんは一瞬で消えました。
そのまま玄関に行って、ドアを開けました。
ニコニコと愛想のいい笑顔を浮かべたお隣さんが「どうも。」って言いました。
「こんにちは。」
「この前ね、旅行に行ってきたの。九州。いい所だったわよ。これ、良かったらどうぞ。」
「えーっと…、そんなにお話したことも無かったですけど…。いいんですか?」
「知り合いにお土産選んでる時にね、ふと思い出したのよ。そういえばお隣の女子高生。一人暮らしじゃ無かったかしらって。高校生なのに一人暮らしだなんて…。大変でしょう?偉いわぁ…。ご飯はしっかり食べないと!体に気をつけるのよ。」
急に親戚の人みたいに私を心配して。
変な人。
それに私は偉くて一人暮らしをしてるわけじゃない。
そうしなきゃいけなかっただけだ。



