先生、私がヤリました。

「金魚。」

「お墓。」

「お墓?」

「お隣さんが夏祭りですくってきたの貰ったら一日で死んじゃった。そこしか無かったから。」

普通じゃないなぁって思いました。
お母さんも、リズちゃんも。
ますます気に入りました。

「リズちゃん、お母さんは?お仕事?」

「うん。」

「何時に帰ってくるの?」

「明日の朝になる前。」

「明日?」

「いつもは今くらいにおうち出ていくよ。今日はお客さんとご飯だって。お昼くらいに出ていった。」

水商売。同伴。
部屋の雰囲気やお母さんの持ち物からなんとなく察してましたけど、正解みたいです。

「じゃあ今日も遅いんだね。」

「うん。」

「お母さんはいつも家に居ないから、知らない人が着たらすぐに玄関開けちゃダメって教えてくれたの?」

リズちゃんは首を横に振りました。

「テレビでドラマ観てたら子どもが言われてた。」

腑に落ちました。リズちゃんの一貫性の無さに。
ドラマで観たからやった。
それ以外は何も教えられてないからあんなに警戒心が薄かったんです。

リズちゃんは悪くないし、お母さんも悪くないって思いました。
私にとっては。
好都合でしたから。