先生、私がヤリました。

その隣。三つ目の部屋はどうやらリズちゃんの部屋でした。

クローゼットの部屋よりも更に狭い。
目立ったのは、部屋の半分を埋めている二段ベッド。
一人っ子なのに二段ベッド。

「リズちゃん、お母さんと一緒に寝てるの?」

「ううん。」

「一人で?コレで?」

「うん。上は怖いから下で。」

「一人っ子だよね?なんで二段ベッドなの?」

「五階のおばちゃんに貰った。」

五階、と言いながらリズちゃんは人差し指で天井を指しました。

「いらなくなったからあげるって。」

「一人なのに、貰ったの?」

「お母さんね、新しいお父さんが出来るかもしれないって言ってた。そしたらリズに弟か妹が産まれるかもって。」

「そうなんだ。お母さん結婚するの?」

「ううん…。しない。しなくなっちゃったの。お別れしちゃったんだって。お母さん、お顔に痣が出来てた。」

「…そう。」

その部屋には二段ベッドの他には小さいローテーブルがあるだけでした。
縦三十センチメートル、横六十センチメートルくらいの。茶色でした。

小さい窓には厚めのレースカーテンだけが掛かってました。
窓を開けたらその下に、んー、名称が分かんないんですけど、棚板みたいに一枚突き出てる部分があって。
薄いブロック塀を横にしたみたいなやつです。

あははははは。すみません、伝わりますか?

上を見上げたらそこにもあったので、各部屋がそうみたいでした。

リズちゃんの部屋から見下ろしたそこには金魚が一匹落ちてました。死んでました。