カレンダーから背を向け、次はクローゼットへと歩み寄り、制服を取ろうとした。
もう、この制服ともおさらばなんだなと思うと、少し寂しかった。
なぜなら、この制服を着てたくさんの思い出を作ってきたからだ。

初めてできた友達と学校帰りに制服でプリクラを取った。
暑い夏の日に、制服を着ながらプールで水遊びもした。
大好きな人と制服で文化祭を見て回った。
電車に遅刻しそうになった雪の降った日に、大好きな人と制服で白く積もった地面を蹴るように笑いながら走った。

…、大好きな人。
ずっと前から大好きだった人。

最後だからこそ、制服を見ると思い出すのは大好きな人の顔だった。
無邪気に笑う顔も、少し拗ねて頬を膨らませる顔も、人を少しからかうように頭を優しく
撫でる時の柔らかい笑顔も、全部が楽しい思い出でもあり、つらい思い出だった。
「大丈夫。今なら、この気持ちをちゃんと終わらせられる…。」