「まあいい。芹には残念ながら、俺様御曹司を好きになってもらうしかないな」

「嫌です」

「俺が目をつけたんだ。逃げられると思うなよ」

「うわぁ〜廉くんがいいそう……」更に嫌そうな顔をする。

「会社で、芹が乙女ゲーム好きでコスプレ好きなのをバラされたくなかったら、俺の言うことを聞くんだな」

「……。サイアク」ポツリと呟く。

 会社では目立たないように地味にし、それ以外の時間は旬くんに費やしている芹には、暁に使う時間はない。

「さあ、芹行こうか?」

「本気で嫌ですが」

「俺を焦らしてどうする?」

「自分中心に世の中回ってるとでも思ってます?これだから、俺様御曹司は……」

 自分勝手な暁を前に、自社の社長ということも忘れ文句をいう。一方の暁は、何を言われようが諦めるつもりもないので、そんな芹ですら可愛く思えてしまう。

 今までにない暁の執着に、駿はこれからが思いやられる。

 暁に対して思った事を言える芹は、ある意味貴重な存在だ。