話がついてホッと一息ついたところで、ここからは芹の母の独壇場だった。

「ねえねえ。私も暁くんって呼んでいいかしら?」

「由希子!」「母さん!」

 父親と兄の声が響く。

「何よ?娘の彼氏をずっと新城さんって呼ぶのは可笑しいでしょう?廉くんでもないし」

「「……」」

 普段から母の順応性の良さはしっているが、さっきまで二次元で呆けていたのに、もうしっかり現実に戻り楽しそうだ。

「それにしても、芹ったら旬くん旬くんって言ってたのに、廉くん似の人を選ぶなんて……」

「お母さん……」

 芹も母の発言に冷や冷やする。案の定、旬くんの名前が出た途端、若干暁の纏う空気が下がった気がする。抑えていて家族には伝わっていないが、嫉妬している顔だ。

「暁くんは、食べ物は何が好き?」「暁くん、趣味は何かしら?」

 母の質問攻めが始まり、父と兄だけではなく、芹まで呆れている。

 そこへ……。

「遅くなりました」