欲望に負け
「9」に触れようとした次の瞬間
「三角…君……?」
大好きな声が、俺の鼓膜を揺さぶった。
「靴入れたいんだけど……いいかな?」
跳ね上がる俺の肩。
ドキッ。
悪さを見つかってしまったような
罪悪感が滲みだす。
ヤバっ。
9に気を取られてて、全然気づかなかったわ。
俺の後ろに、長月がいたなんて。
いつからいた?
俺が長月の靴箱を触ってたの、見られてないよな?
オロオロオロ。
冷や汗、てんぱり、焦る俺。
振り返って、さらにドキドキが爆走した。
好きな子が
俺の瞳に映りこんじゃったから。
――かかか……かわいい///



