靴箱の前に立ち尽くす俺。 この時間を一人で堪能したくて 登校はいつも早め。 「出席番号まで9番って…… 俺の心をもてあそぶの いい加減にしてくれない?」 長月の靴箱に吹きかけた言葉は、キツめでも 俺の口から洩れた声色は、自分でもびっくりするほど甘々で 「オマエの数字、汚れてるぞ」 靴箱に書かれた「9」の上についている泥を 丁寧に指でふき取る。 そろそろ教室に行くか。 でも、もう一度だけ…… 長月を感じてから……