スリリングなハラハラに襲われたせいで
心臓のバクバクが収まらなくて
俺は目を覆うように、手を当てる。
心臓の爆音が鳴りやまない今も
俺の脳に浮かび上がるのは
靴箱に立つ長月の姿。
それにしても夏服
長月に似合い過ぎだったよな?
まるでスズランの花みたいって
アイツに見とれちゃったし。
ふんわりほんわかして
可愛すぎだっつうの。
それでいて
ライオンにおびえるウサギみたいに
オドオドしながら
俺に声をかけてくるんだから
『癒し小動物系の顔をしてるくせに
真ん丸な瞳の中に
俺を虜にする猛毒でも
仕込んでんじゃねの?』
長月を問いただしたくなったわ。



