たとえこの世界から君が消えても

加奈の攻撃が再び始まり、見ているのが耐えられなくなりぎゅっと目を瞑ったその時だった。



「おい、いい加減にしろよ」



中村くんが加奈の腕を引っ張り、やっと攻撃が止まる。



「…なに?離してよ奏多」


「もうやめろって、こういうの」



睨む加奈に負けじと睨み返す中村くんに、加奈の方が折れた。



「もういいよ。つまんな」



中村くんのおかげで、その日は加奈が佐倉さんに対して何かをするということはなかった。


だが次の日から、目立つような嫌がらせはないが、聞こえるように悪口を言ったり、物を隠したりなどと小さい嫌がらせが始まった。


それは数日経っても続いた。



「はあ…」


「八回目」


「え?」