たとえこの世界から君が消えても

「じ、女子だ!しかも超絶美人!」


「かわいー!紫音ちゃん俺と付き合ってー!」


「死ぬ…笑顔の破壊力えぐ…」


「おい、おまえら静かにしろー。じゃあ佐倉の席は一番後ろの空いてるとこな」


「はーい」



佐倉さんが指定された席に歩いて行くだけでも、男子たちの興奮はおさまらない。


しかし、その席は…。



「お隣よろしくね。えーと名前…」


「仲良くする気ないから、話しかけないで?ビッチ女」



佐倉さんは驚いたように目を見開いている。


加奈の言葉に、騒がしかった教室内が一瞬で静まり返る。



「おーい、おまえら、前向けー。今日の連絡事項するぞ」



何事もなかったかのように、担任が連絡事項を淡々と伝えていく。


このクラスでは担任ですら、めんどくさいのか加奈に逆らわない。


だから、このクラスで加奈に目をつけられたら終わるのだ。



誰も助けてくれる人はいないから。