むぎゅっ、と。
律が掴んだのは、「チュン太」だ。
ベッドに寝転んだら、ちょうど左斜め上。
そこが定位置の、シマエナガのチュン太。
「え。待ってよ!なにしてんの、」
焦るわたしにはお構いなしで、律はチュン太を小脇に抱え、部屋を出て行こうとする。
「借りる」
「はぁっ!?借りるっ?なに、それ。ふざけないでよ」
わたし、囲まれてないと安眠できない。
あの、空気の流れを遮断するような、なんとも言えない圧迫感がないと、不安で眠れないの。
「律には必要ないでしょ?」
チュン太を取り返そうとするものの、空振りばかり。
高く掲げられてしまったら、背伸びをしたって届かない。
「……っ、そうだ!あれ、あのTシャツ!」
譲ってあげる、って言ったら返してくれるかもしれない。
中古だけど。パジャマにしちゃったけど。
チュン太のためなら、あのTシャツを差し出すくらい、なんてことない。
「………、」
一瞬、チュン太を持つ手がピクリと反応したように見えたけれど。
「じゃ、また明日」……って。



