いっしょに寝ようよ。




「頼むから、パジャマにするな」
「転売ヤーの手に渡るよりマシでしょう?」

そんなやりとりを何度もしてきた。
譲ってあげようか?なんて言ってあげられるような優しさは、残念ながら持ち合わせていない。
コラボとか、限定とか、完売とか。そういう響きって、魅力的だし。



「行ってきまーす」

時間になったら、ふたりして家を出る。
駅まで歩いて八分。
電車に揺られること二十分。

ここだけの話。
昔から、やたらと変質者に遭遇するわたし。
見せられたり、つけまわされたり。
触られたり、盗撮されそうになったり。

電車通学を心配した両親が、同じ高校に通うなら一緒に登下校してもらえないかと、律のご両親にお願いしたのだ。
朝早くに出勤するおばさんの代わりに、律のお弁当を作る提案までして。

お弁当ひとつじゃ無理でしょ、と思ったんだけど。
ありがたいことに、二つ返事で引き受けてくれた。
今では、「お腹が空くといけないから」って、ウチでも朝食を出すようになったんだ。

おばさんには、「ほんと助かるわ」って感謝されちゃうし。
パパとママは、「息子ができたみたいで嬉しい」と、律を必要以上に可愛がる。

思春期の男の子が、朝から他人の家でくつろげるようになっちゃうのも、わかる気がする。