譲ってあげようと思って。
中古だけど。パジャマにしちゃったけど。
「欲しかった、でしょ?」
ストリート系ブランドのロゴTシャツ。
洗濯も済み、綺麗に畳まれたそれをまじまじと眺める律。
あぐらをかき、ときどき腕組みをしては、うーん、と唸る。
「新品じゃないけど。でも、完売しちゃったし、手に入らないじゃない?……だから、」
「なんで譲ろうと思った?」
「……え、」
「なんで?」
「……それは、」
律と向かい合って座るわたしは、視線をふわふわと漂わせた。
助けてくれたお礼に、と言ったら嫌がられるかもしれない。
それ以前に、パジャマかよ、って気を悪くしたかも…。
でも。すぐにあげられるものって、これくらいしか思いつかなかったし。
「なんとなく?」
えへへ、と肩をすくめて笑ってみせた。
そんなわたしをチラリと見た律は、Tシャツに視線を戻した。
「ふぅん。でも、いらない」
「えっ?」
「いらない」
「………」
怒った、かな。
怒っちゃったのかな。
律は立ち上がると、スタスタと歩き出した。



