「ねぇ」
「ん?」
自分の教室に戻ろうとした蓮人が私の声に立ち止まり私の方を見る。
「どうした?」
呼んだのに話始めない私に、蓮人が近づいてくる。

「何でもない。じゃあね」
私は何も聞けないまま、背中を向けて教室の中に戻った。

どうしてだろう。
兄妹だからだろうか。

蓮人のことが知りたい。
告白になんと答えたのか。

もしかして好きな人がいるのか。
そういえば、芸能人やアイドルのタイプの話をすることはあったのに、好きな人の話をしたことはほとんどない私たち。